人気ブログランキング | 話題のタグを見る

弓の稽古 楔 弓道読本より

弓道読本 11.「自然体」の射法八節 ー (七)会 ー (2)詰合いと楔(くさび)から。
詰合いは会にあって体の筋骨を正しい位置に納め働き” ”要所要所を詰め合うには楔が必要”とあります。
続いて、日置流(へきりゅう)では、”~楔とは寛(ゆる)ぎたる所に轄(くさび)を打ち込んで締めるがごとく堅く厳しい事である”と解説があります。
また、射法訓では、冒頭に”射法は、弓を射ずして骨を射いること最も肝要なり”とあります。
少々古い言い回しですが、その大体の意味は、弓をやられてない方でも、なんとなく想像がつくと思います...。

人間の身体は柔軟性の高い筋肉とそれを支える骨格によって構成されています。
そして、身体の活動は関節の働きにより方向を決めています。
例えば、腕を前方に伸ばして肘関節を回内(肘の曲がる側を体の内側に回転)、または回外(同様に外側までは向かないので上側)させると肘の曲がる方向はそれぞれ違ってきます。
※肘だけ動かすのが難しい場合は、手を壁などに付いて固定するとやりやすいと思います
肘を回内させると内側に、回外させると上方向にしか曲がりません。無理に違う方向に曲げようとすると、肘は勝手にくるっと回内または回外します。
弓射では、関節を意識的に使うことで動きを制限します。
弓手の場合は、肘を回内させ、手首は逆に親指側を外に向ける(回外)ようにして弓を垂直に保ちます。
こうすることで筋力ではなく骨格で弓を支え、弓の張力に耐え安定させます。これが「肘の楔」と「手首の楔」で、両者で「弓手の楔」となります。
妻手では、もう少し複雑です(今回は省略)。全体として「楔」とは、弓射の動きの中で、納まるべき所に位置させれば、筋力に頼らなくても理想の形にきっちりなる、今風に言えばロックすることが出来るということです。

人間の身体は、機械のようにまったく同一の動きを正確に繰り返すことはたいへん難しいです。
一射目に理想的な動きができたとしても、二射目にはがっかりするような射になってしまうことはよくあります。
その理想的な動きを再現するためには、正射法を詳らかにしその動きを自覚、確認できるようにしていくことでしょう。
”楔”もその中の一つの手法です。

by tin_box | 2020-01-22 00:01 | ブリキ的生活 | Comments(0)
<< 弓の稽古 二連続六射六中 弓の稽古 スランプの反対、好調... >>