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弓の稽古 矢の擦り痕、アーチェリーパラドックス

以前から気になっていたのですが、矢の左側(弓側)に擦り痕ができています。
まだ未熟者なので、あちこち道具も傷むのかな位に思っていました。一年も経たないうちに矢羽根もボロボロです。
先日、矢を新調して、今度は大事に使おうと思っていました。
しかし、ふと矢を見るともう既にシャフトに擦り傷が入ってました。
擦り傷といっても表面のアルマイト加工?が少し擦れている程度です。
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新しい矢では、射付け節の少し後ろと、元矧ぎから羽根の前側少しまでにありました。その中間には傷はまったくありません。
矢を射った瞬間に弓の握り皮の籐の部分と擦れていることは想像できました。
なぜこの位置に擦り痕が付くのでしょう。
で、少し調べてみると、アーチェリーパラドックス、またはアーチャーズパラドックスなるものがあることを知りました。
このことは、アーチェリーをする方には常識的なことらしいのですが、意外にも、弓道界ではあまり知る方は少ないということです。




アーチェリーパラドックスについての詳細は他を参照してもらったほうが良いと思いますが、簡単に言うと、弦に押された矢が左右に蛇のようにたわみながら飛行し始める現象です。
※的中に関しては、矢のブレはないほうが良いのに、リリースには好都合な現象ということでパラドックスと言われるらしいです
元は言葉にあるようにアーチェリーの理論ですが、和弓でも、弓に矢を番える位置と矢を引く右手の状態を左右ひっくり返せば、理屈は当てはまります。

矢は、弓と弦の動きによって、最後部の筈から前方に押し出されます。
前方に真っ直ぐ(筈と鏃を結んだ延長線の方向)に押し出されれば、矢は鋼体ですからその荷重に耐えて、真っ直ぐ前方に動き出します。
しかし、ほんの少しでも傾いて押すと、容易に方向は変わり、矢はたわんでしまいます。
そして、弦は真っ直ぐに矢を押していません。
弽(ゆがけ)の弦枕(弦が引っかかっている親指側の出っ張り)から”離れ”の際にリリースされた弦はほんの少し右によります。
※これは離れの良し悪しではなく、必然的に生じることで、アーチェリーにおいても指を離す際の動作で同様(左側)に起こります。
そうすると、矢を少し左前に押し出す形になり、矢はほんの少し(上から見て)左側が膨らんだ形にたわみながら前部分を弓に押し付けることになります。
これが矢の前側(射付け節の後ろ付近)の擦れなのでしょう。
次に、弦は弓に繋がっているので、上下に広げられつつ前に進み、矢筈に番えている部分を上から見ると反対方向にS字の軌跡で進んでいきます。
矢も左側のたわみを開放し、今度は右側に押されますので、たわみ開放の反動も含めて反対方向に右側たわみが生じます。
矢は前方に進みつつあるので、逆にたわんだ後ろ側が弓に擦れることになります。
弦の左右の蛇行は終りつつ、矢の筈から離れ矢を押す役割を終えます。
矢のたわみも弦から開放されて次第に納まり、より直線的な飛行に移り矢羽根の効果でゆっくり回転を始めます。
こんな説明でイメージできたでしょうか。

付け加えれば、弦の蛇行する速さは弓の強さで決まり、矢のたわむ速さ(振動の周波数)は矢の硬度(シャフトの太さや肉厚)で決まります。
これが合っていれば、矢の重心がぶれずにまっすぐ飛び出しますし、合ってないと、矢の飛ぶ方向に様々な癖が出ることになります。
それに矢の重さと重心、弓より前に出ている矢先の長さも飛ぶ方向に影響すると思います。
この辺はまた、追々勉強していきたいと思います。

アーチェリーでは弓の強さと矢のたわみを計算してそれに合った硬性の矢を選択するようです。
また用具は日進月歩で、的中率をより高めているようです。
弓道の場合は、それらは経験則、感覚によるもので判断されているようです。
弓具屋で弓と矢を購入するときに、割と大雑把に弓が15kgまでは2014でいいよと言われましたね。

この矢の擦れ方の良し悪しもあるのかと思います。
上記のようなことがあるとしても、あまり擦れは無い方がいいとか。
短めで軽い矢を使用している方では、すり痕はほとんど目立たず、長いジュラ矢を使用している方がはっきりわかるのかと思います。
いずれにしても今回は、矢の擦れ傷から、思いがけずに勉強をしました。

by tin_box | 2019-07-03 21:13 | ブリキ的生活 | Comments(0)
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