その1

私がまだ幼稚園に上がる前、私と両親は田舎の肉屋の2階から、町の真ん中にある親戚の大おばの経営する事務所ビルに引っ越した。
ビルの住み込み管理人として大おばが雇ってくれたのだ。
雇ってくれたとはいっても、給料はもらった覚えがないと、母は話していたが、住居付なのだから、そりゃそうだろう。ずうずうしいw。
用事と言えば、階段の掃除と、あともうひとつあったのだが、またそれはあとで話そう。

そこは、4階建てビル屋上の一角にある小さな部屋だった。
冷たいリノリューム床の部屋と、仕切りのない、どうにか3人寝れた畳部屋があった。
今思えば狭いとはいえ、なかなか得がたい条件の住みかで、昔放送された「傷だらけの天使」でショーケンが住んでいたようなところだったのだが、少々不便でもあった。
エレベーターはなく、屋上まで毎日何回も階段を登り降りしなければならず、トイレも下階にしかなく、夜行くのは眠いし、なにより子供には暗くて怖いし苦痛だった。
風呂も銭湯だったが、その時代は割と普通だった。
風呂屋でたまに買ってくれるマミーが美味しかったのを覚えている。

窓からは市街地がよく眺められた。
その時代にはさほど高い建物も少なく、ほとんど同じ高さで消防署のレンガ造り(内部は鉄筋だろうが)の監視塔が見えた。時々、監視塔の外回廊を消防署職員が歩いていた。
今はもう、消防署の監視塔などはどこへ行ってもないだろう。
と思ってたら、ちょっと探したら、超近いものがあった。下記参照
http://soubouwalk.exblog.jp/8179008/
http://volunpo.net/modules/d3blog/details.php?bid=42

夜になると、街の灯りがボワッとあがってきてきれいだったが、一番記憶に残っているのが、宝石店の屋上で回っていたサーチライトだった。
このサーチライトは確か2基あって、斜め上を向いてゆっくりと回転させていた。
そう20世紀FOXのタイトルロールのあんな感じのもっと地味目で。
ライトが向こう側を向いているときは、ゆっくりと光線が移動していき、こちら側に回転し近づいてくるにつれ速くなり急激に明るく、真正面に来たときはワッと一瞬光り、またゆっくりと遠ざかっていく。
霧や雨の日にはとても幻想的だった。

そこには小学校5年になる前まで住んでいた。


続く。
by tin_box | 2009-10-08 22:39 | 雑記 | Comments(2)
Commented by neon at 2009-10-10 20:25 x
こういうの、結構好きです。
お話じゃなくてほんとだから。
Commented by tin_box at 2009-10-10 21:30
neonさん、そうですか。
じゃまた続き書きます。
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