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ゲーム理論の専門家のはずな鳩山さん。

池田信夫氏のブログ、興味深い記事。

以下引用
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51425316.html

約束の破り方
鳩山首相の沖縄に対する「約束」が守れなかったことが大問題になっている。しかし彼が野党党首だったころ適当にした約束が、政権について実務的に検討したら守れなくなるのは、当たり前だろう。消費税にしても子ども手当にしても、マニフェストを守ることより現実をみて修正するほうが大事だ。

しかし日本人は約束を大事にする。世界的にみても、日本人ほど律儀に約束を守る国民はいないのではないか。日本の会社では納期を守るのは絶対で、1日でも遅れると取引を打ち切られても文句はいえない。その義理堅さが日本人の信用になっているのだが、今のように約束がどうしても守れないときは、これが変化の障害になる。

契約理論では、サンクコストは無視して約束を破ることが事後的には合理的だと教える。しかしそれを人々が予想すると、事前の過少投資が生じる。この問題を解決する方法は、理論的には二つしかない。事後的な再交渉でどっちが決定権をもつかという所有権(コントロール権)を契約で決めておくことか、約束を破った相手とは二度と取引しないという長期的関係で拘束することだ。

この二つのどちらを選ぶかが、文明の形を決める。歴史的には、圧倒的に多いのは後者だが、これは(ゲーム理論の示すように)かなり欠陥の多いメカニズムだ。それは完全モニタリングという前提がないと、機能しないのである。不完全モニタリングのもとでは、裏切りと報復が日常的になる。バンコクのタクシーは、旅行者が乗ると必ず遠回りする。中国のカメラ業者と取引すると、必ず1箱に1個、中古がまじっている。

戦後の日本の成功の原因は、この完全モニタリングを実現したことにある。人々が伝統的に成熟した中間集団で育ち、一つの職場に40年近くいると、互いのプライバシーまで筒抜けになり、居酒屋の話題の半分以上は人事の話だ。「**さんが左遷された」とか「**さんが上司ともめている」といった話は、ほとんど1日で組織内をかけめぐる。このような相互監視による協調性の高さが、日本の製造業の労働生産性が高い原因である。

しかし環境が大きく変わったのに約束を守ろうとすると、無理が出てくる。JALの年金問題で、OBが「約束が違う」というのは当然だが、それを守ると会社がつぶれるときは、約束を破るメカニズムが必要だ。日産のカルロス・ゴーン社長が従業員や下請けを大胆に切れたのは、彼が「過去の約束は知らない」といえたからだ。日産の社員は「ゴーンさんがやったことは、前の社長のとき提案されていたことで、みんな何が悪いかはわかっていた。これまでの約束を破れなかっただけだ」といっていた。

政権交代も約束を破るメカニズムなのだが、民主党政権はバラマキ福祉などの約束は守り、アメリカとの約束を破ろうとして大混乱になった。これは間違いである。欧米型の契約社会では、約束違反に対するペナルティは厳格に決まっているので、へたをすると日本は国際社会から排除されてしまうだろう。

官僚は、極端に律儀に約束を守る。不合理な周波数割り当てを私が批判すると、電波部の官僚は「今まで多くの関係者と続けてきた約束を破ることはできない」という。電波の利用効率と、彼らの業者との約束(一般国民は知らない)のどっちが大事なのかは問われない。天下り先と官房秘書課の約束も、互いに何のために守っているのかよくわからなくなってきた。今の秘書課長にとっては、自分が天下りできる見通しがないのに、先輩の再就職の世話をする義理はない。

変化の多い社会で、約束を守ることはむずかしい。約束を破らざるをえない状況になったとき、どうすればいいかという問題について、経済学(契約理論)はここ20年ぐらい精密な研究を続けてきた。Gilboaは行動経済学的な観点から「約束を守るのは認知コストの節約のためだ」という説を提唱している。いずれにせよ、約束をいかにうまく破るかが民主党政権の今後の運命を決めるような気がする。

引用終わり。

結局、ぐちゃぐちゃになってしまったことは、いずれはどこかで落とさなければならないと思いますが。
散々むちゃくちゃやってる現政権にだけは、やらせたくないということもあると思います。
でも、違う意味で社民党も無責任。
by tin_box | 2010-05-28 08:40 | 雑記 | Comments(0)
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